SP1
4-1:放射線って何?遮蔽って何?
4-2:作業性を考慮した素材

被曝しないようにするためには、全身を遮蔽材で覆えばいいのですが、意外とそれは簡単なことなのではないのです。数cmのコンクリートを身にまとうわけにはいかないですし、重金属を用いた遮蔽材で全身を覆えば30kg近くにもなり、またそれで服を作ったとしても、硬くて動くことすら出来ません。放射線の線量が高いところでの作業は、遮蔽も必要ですが、短時間で作業が出来るように動きやすい素材で遮蔽服を作る必要があります。

様々な分野で、柔軟で頑丈で軽量化されるモノの中は、素材をハニカム構造という蜂の巣のような構造体にされています。重金属をハニカム構造の素材に分散させ、柔軟性を持たせることで、通常よりも動きやすい素材になります。

また思わぬ発見は、このハニカム構造は素材自体に無数の部屋を作ることになり、放射線を各部屋を通る度に散乱させ続けて、より遮蔽効果を持つということです。

しかし、いくら柔軟な素材であっても放射線を遮蔽する重金属を多く含むと全身を覆っても重たくなり、作業性に欠けてしまいます。そこで近畿大学原子力研究所の協力を得て、人体にとって放射線の影響の受けやすい部位を重点的に覆うことにしました。

 

また、素材自体のメンテナンスが容易である、つまりメンテナンスフリーであるモノであることが重要です。重金属を使用している素材の場合、時間が経つに連れて、重力により垂れ下がってしまうことがあります。その垂れが起きないようにヤマモト未来研究所は、そのハニカム構造のゴムに均一に重金属を分散させることに成功しています。

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