ジャパンプレミアムにこだわるヤマモトの工場の秘密とは
 

研究5でチタン合金を使った「保温」の話をしました。その研究をもとに作ったウェアはボディラインに対してタイトな作りで無くしたことと、蒸れないように内部の湿気を外に放出させる0.5mm以下の空気孔を設けることでウェアとして仕上がりました。

この保温ウェアの製品化に向けた開発中、天敵となったのが「湿気」でした。逆にこの「湿気」をうまく利用して何かできないのか??・・・という発想で、もう1つの研究が始まりました。

「湿気」をうまく使うということで思い浮かんだのが「乾燥」に使うこと。
冬場になれば多くの方、特に女性はお肌の乾燥が気になります。

いわゆる乾燥肌です。

若い時では水滴がはじいていたお肌も、年齢を重ねていけばはじかず、むしろ吸い取るような皮膚になってしまうと感じている方も多いのではないでしょうか。それだけお肌は水分を欲しています。乾燥が酷くなれば指がひび割れたり、かかとがカサカサになったり、顔に粉がふいたりした経験はありませんか。

現代社会において乾燥は冬場だけの話ではなく、エアコンを使う夏場でも乾燥した空間にいることが増え、1年を通じて肌に悩む方が増えてきました。


では肌荒れの原因「乾燥肌」、そもそもどうなれば、またどの基準で「乾燥肌」と言われるのでしょうか?
お肌の表皮の外側の部分に角質層というものがあります。その一つ一つの角質の間には角質細胞間皮脂というセラミドがあり、これが保湿機能を持っています。「乾燥肌」は角質の水分含有量が低下することで起こり、この角質層が30%の水分を切ると「乾燥肌」と呼ばれるくらいになります。

この30%がキーポイントで、部屋の湿度が30%を切ってくれば、肌から水分が蒸発しやすくなり、肌が乾燥し肌荒れが起きやすくなります。とはいえ、外来診療で水分量を測るわけではなく、所見によって判断します。
30%を切らないように「乾燥も防ぐため、そしてちょっと冷えもあるからあったかいお風呂に長時間使って、皮膚の水分を補給しよう!」と思う人がいるかもしれませんが、それは間違いなのです。長時間になると角質層がふやけ、肌の潤いを保つ脂質を洗い流してしまい、乾燥しやすい表皮を作ってしまうからです。



未来科学研究所が保温で開発した素材。その素材を利用して、素材に空気孔を作らずタイトに装着することで、部分的に適度な湿度を持った空間を作りあげられるのではないかと考えました。
そこでまず、かかとの部位を使って研究を行うことにしました。かかとのガサガサは多くの人が経験を持つ症状です。

チタン合金と山本化学の皮膚の動きに近いハニカム構造体ラバー素材でかかとを覆うサポーターを作り、装着前から60分間後のかかと側と足首前側の2点の肌水分率を調べることにしました。
その結果グラフの通り、多くの数値が30%を越え(越えていないものでも29%)、平均でかかと側で約119%、足首側で約123%の水分率が高まることが分かりました。

また同時にサーモグラフィーでかかとの表面温度を計測したところ60分で平均2℃の上昇が見られました。
人によっては約5℃も上昇する方もいました。



思っていた以上の成果を受けたので、次に指先を覆うサポーターを同じ素材で製作して測定をしました。

この指先の測定でもグラフの通り、肌水分率は確実に30%を越え、平均で手の平側の指先で約137%、手の甲側で約132%も肌水分率が高まりました。


そしてかかとの試験同様にサーモグラフィーで指先の表面温度を測ったところ、平均で1度上昇することが分かりました。


このように「冷えの解消」に「うるおい保湿」。女性のみなさまには嬉しい結果が得られました。しかも自ら持つ身体の水分のポテンシャルを十分に生かすことで、うるおいを保つことができました。

ただ女性に嬉しい結果と言いましたが乾燥は女性だけの問題ではありません。これは女性がよく気にされているだけであって、中高年の男性では急に起きる問題でもあります。それは男性はもともと肌に対して無関心で生活をしてきて、肌荒れしやすい環境が整っている中、中高年になって皮脂の分泌が少なくなってきて、急に乾燥肌に拍車がかかるそうです。
ちなみに皮脂の分泌量のピークは男性で30代、女性は20代に迎えた後、減少していきます。
これからは乾燥には男性も気を付けてほしいものですね。