寒い季節に外出するときには、出来るだけ暖かい格好をして出かけたいものです。でも着れば着るほど暖かいけど、着膨れしてしまい動きづらいし不恰好。そこで、最低限の薄さで暖かく出来るための研究がはじまりました。

カイロのように熱源のあるものは当然ながらカイロから熱が発せられるので暖かいですが、長時間同じ位置で使用すれば低温火傷をする恐れもあります。そこで熱源を持たず体を暖める方法は無いかと考えました。

そして、たまたま研究所に持ち込んだ魔法瓶を見た時に閃きました。
魔法瓶に温かい飲み物を入れて、寒いところへ行ってもその飲み物は保温が持続することに。つまり、外気をシャットアウトして、内部の熱を逃がさない構造、これこそが、重要なポイントなんです。


冷たい外気を遮断して、体温を保持できる環境を作れば、単純に温かさを得られるのではないかと。つまり、熱源を作るのでは無く、熱源は人の体、体温でいいのです。

理科の時間で習ったかもしれませんが、人などの哺乳類や鳥類は、ほとんど体温が変化しないので「恒温動物」です。体温が変化しないのは、体内で起こる化学反応である「代謝」をしているからです。

食べ物からの栄養をエネルギーに変えて運動をすることなどが代謝にあたり、このとき運動に直接使われなかった、残りのエネルギーは熱となり、なんと75%以上が熱に変換され、体温の維持として使われています。そんな発電所のような熱源を使う手はありません。他の熱源を使わずして、体温の利用することはエコにも繋がるからです。


熱が伝わり方には、伝導、対流、放射の3種類があります。

固体のものよりも空気などの気体の方が熱伝導率(熱の伝わりやすさ)は低く、一般家庭でも1重の窓よりも2重の窓で間に空気がある方が断熱効果があるのはみなさんも知っているとは思います。同様に魔法瓶も2重構造になっています。

そこで使われたのが独立気泡という空気を多く含んだラバー素材を使用することにしました。独立気泡という小さく区切られた空気の層を持つことで、空気があまり対流しないことにより熱の移動が少ないため、断熱効果はより高まるのです。そして気泡を含むので柔軟性は抜群!!ちなみに魔法瓶は真空に近い状態にすることで対流が少なく熱の移動が起こらなくしているのですが、さすがに衣服を真空にできませんよね。

また魔法瓶内部は鏡面加工されており、温かい飲み物が外へ熱を放射しようとするところを、反射をすることで、熱の放出を防ごうとしています。 そこで、ヤマモト未来科学研究所は、独立気泡を持つラバー素材に、滅菌作用があり、反射率が高いチタンを特殊コーティングすることで、放熱を防ぐことにしました。

これらのことによって、3つの伝導、対流、放熱による3つの熱の伝わる原因を封じ込める素材を完成させ、その素材を使用した衣類を着用することで、体を包む構造となり、まるで魔法瓶を着たような衣類として完成したのです。

寒い冬には、魔法瓶に暖かいお茶を入れて、魔法服を着て、春のようにお出かけするのが未来の姿になるかもしれません。